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2021年03月01日

花粉症と糖質

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今までは糖質と体の痛みの関係性について書いてきました。今回はアレルギーの代表選手である花粉症との関係を書いてみます。実は私も花粉症で数十年前から春先は苦労していました。そのころは病院に勤務していたので耳鼻科の先生に新しい薬が出るとすぐに服用して効果を確かめていました。改善するため、減感作療法、星状神経ブロック、各種ヒスタミン剤などをためしてきました。12年ほど前に糖質制限をしてから症状は軽くなりました。アレルギー体質の身体の中で糖質はどんな作用をしているのでしょうか。

目次

花粉症の人は腸内環境が乱れている

免疫細胞がアレルゲンに触れるとそのアレルゲンにでけ反応するIgE抗体ができます。血液検査で何の種類の花粉に反応するのか調べるときに使われるのがこのIgE抗体の血中濃度になります。理想は花粉が体内に入る前に粘膜でガードして侵入を防ぐことができればよいのです。身体に侵入をさせない防御反応で働くものがIgA抗体(免疫グロブリンA)と呼ばれます。これは身体の粘膜面に分泌される「分泌型抗体」で目、鼻、口、など外界と接する粘膜にて働く抗体です。IgA抗体はどんなものでも包み込み外に出してくれます。なので、細菌、花粉、ウィルスでも侵入を阻止してくれる強い味方なのです。ですからIgA抗体の濃度を高くすることは花粉症の改善には欠かすことができない要因です。

抗体の働き

IgA抗体を作り出す重要な臓器は腸です。腸管の内壁は粘液層によって覆われています。そのすぐ下には絨毛というひだが敷き詰められています。絨毛のない領域はリンパの種類のパイエル板と呼ばれるものがあります。腸管では栄養を吸収して細菌やウィルス、または未消化の物質はパイエル板が異物と認識して捕獲します。キノコなどに含まれるβグルカンうや海藻に含まれるネバネバ成分のフコダインは免疫にかかわることは有名です。これらの物質は多糖体と呼ばれ、バリア機能や栄養運搬などをしています。この多糖体がパイエル板に取り込まれると分子が大きいので免疫細胞のマクロファージが異物認識します。その後β細胞に情報を伝えることでIgA抗体が分泌されます。つまり十分なIgA抗体が目や鼻に分泌していれば花粉症の症状が改善されるというわけです。IgAはストレスや疲労によっても減ってしまうそうです。IgA抗体は特に腸に多く存在するためストレスや疲労が重なると腸粘膜のIgA抗体が減少して普段ならばアレルギー反応を起こさない食材でも蕁麻疹が出たり」下痢になったりすることになるのです。このような身体の作用から腸の中にIgA抗体をつくらせる物質の多糖体が重要でキノコ、海藻の摂取が有効といわれる所以です。

腸内環境の大切さ

腸内で免疫反応がスムーズに行われるには腸内環境が正常化しなくてはなりません。腸内には約100兆個の細菌が住み着いています。腸内細菌もその種類は約100~500種類といわれています。その中でもご存じの善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に大別されます。善玉菌は乳酸菌、酪酸菌、ビフィズス菌など有用な菌で、正常な排便作用を助けたりビタミンを合成しています。免疫向上の働きもしています。悪玉菌のブドウ球菌、ウエルシュ菌など腸内を腐敗させる菌は免疫を低下させたり毒素や発がん物質も産生します。日和見菌は善玉と悪玉の勢力の強い方に味方をする菌といわれます。これらの腸内細菌のバランスが腸内環境の良し悪しを決めます。理想は善玉2:悪玉1:日和見7といわれます。善玉を増やすには餌となる食物繊維を摂ることが重要です。海藻、キノコ、野菜です。

「腸漏れ」って何だろう

最近では一般の方も腸内環境がアレルギーに影響をしていることをご存じの方が多くなりました。ある商品のコマーシャルが影響しているのでしょう。実は花粉症の方の多くは腸に穴が開いているといわれます。リーキーガット症候群という病名があります。日本訳では「腸漏れ症候群」と呼ばれています。腸壁に傷がついて微小な穴が開きそこから有害な物質が漏れ出してしまいアレルギーなどの様々な疾患を引き起こしてしまう病態のことです。通常、腸は食べ物が入ってくるとできるだけ小さく分解して吸収します。ところが分子の大きなまま吸収すると人体とは別の物質である異物と認識しアレルギー反応を起こしていしまいます。腸壁の壁は粘膜細胞がたくさん寄せ集まり隣の細胞同士がしっかりくっついています。このかたい結びつきを「タイトジャンクション」と呼びます。ところがリーキーガット症候群はこのタイトジャンクションが緩んでしまい未消化の大きな分子であるたんぱく質、糖質、有害物質、花粉、細菌、ウィルスなどがどんどん体内に漏れ出てしまいます。

リーキーガット症候群は食事が原因

リーキーガット症候群は粘膜が弱くなり起きるといわれています。小腸の上には胃があり強酸性の胃酸が分泌されて雑菌は胃の中で死んでしまします。ところが胃酸が正常に働かないと雑菌が下にそのまま流れ小腸の細菌バランスが崩れます。逆流性食道炎で処方される強い制酸剤(胃薬)の影響があると言われています。
つぎに知られているのはカンジダ菌です。カンジダ菌はカビの一種の常在菌です。ところが腸内のカンジダ菌は腸粘膜に微小な炎症を起こし、その結果リーキーガット症候群を引き起こします。他にはカゼインと小麦グルテンです。これらはどちらも通常の消化酵素では分解されにくく、腸内にとどまり消化されずに微小な炎症を引き起こしリーキーガット症候群の誘発原因になります。そして最後に糖質です。腸内に消化されずとどまった糖質はカンジダ菌を含めた悪玉菌の餌になります。つまり腸内細菌のバランスを大きく乱すのが糖質ということになります。私は日頃糖質制限を行っていますが、この時期にたくさん食べるとすぐに身体の反応が起こり「くしゃみ、鼻水」が途端に出ます。
この季節は特に腸漏れを防ぐためには腸にとってマイナス作用に働くものを極力排除することが大切なようです。
アルコールの多飲もタイトジャンクションを緩めます。お気を付けください。

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