2021年02月23日
糖質過剰と腰痛・膝痛の関係
ブログ
今回は糖質(糖化)と筋肉、骨、椎間板などの組織との関係をみていきたいと思います。数回前のコラムでも書きましたが、糖質を摂り低血糖になると血糖を上げるホルモン(アドレナリンや糖質コルチコイドなど数種類)が筋肉をこわばらせることは書きました。これらについては筋筋膜のトリートメントにて対応できます。
今回はその他の作用について「糖化」という原因に着目してご紹介します。
目次
糖化、AGEとは何か。
体内のコラーゲンを変質させてしまうものが「糖化」(グリケーション)という現象です。
糖化は糖質の摂りすぎによって起こります。身体の中の余分な糖質がたんぱく質と結びついてAGEs(糖化最終生成物)という老化物質になります。糖化が起きた腱や骨は褐色に変色しもろくなります。また炎症も起きやすくなり、痛みや損傷も引き起こし機能障害までもおこしてしまう可能性があります。
※骨、軟骨、筋肉、腱、椎間板などの組織はコラーゲンが主な構成成分です。
腰痛に関連する作用
高インシュリン血症、インシュリン抵抗性は脊柱周りの筋肉の一部を脂肪に変性してしまうという論文もあります。脂肪変性したことにより脊柱の筋肉が落ちて慢性腰痛をひきおこしている方もみえます。
「マイオスタチンというホルモンは筋肉の増加を妨げるホルモンともいわれています。
高インシュリン血症ではマイオスタチンが増加するともいわれています」
若い方でも腰の筋肉が落ちている方には糖質摂取量をお聞きすることがあります。食事が原因とはなかなか理解できない方もみえます。しかし、事実はこういったことが実際、体内で起きているのです。糖質量に関しては個人差が非常にあります。若い方でも肉体労働ではない方には、ある程度糖質を制限されることをお勧めしています。
膝痛に関する作用
【膝などの関節軟骨のコラーゲンは非常に高寿命であり、こうどなAGEsの蓄積をうけやすい。実際に皮膚などのコラーゲンに富むほかの組織と比較しても、関節軟骨は比較的多量のAGEすぉ認めている。軟骨コラーゲンの半減期が薬15年であることを考えても、AGEsの影響は非常に大きい】
Verzijl,N,et.al.Effect of Collagen Turnover on the Acumulation of Advanced Glycation End Products J Biol Chem,2000.Dec15;275(50)39027-31
変形性膝関節症は糖質過剰の原因の一つと考えられています。当然糖質過剰は肥満になりやすく、肥満の方は立位と歩行時に関節にねじれが生じていると重力の影響で関節に損傷も起きやすくなります。
糖質過剰の改善に向けたアドバイス
ご高齢の方でも糖質の理解をしていただき、出来る範囲で制限を行っていただきます。
若い方はリテラシーが高いので十分な説明をして「糖質制限」にチャレンジしてもらいます。
何よりも糖質過剰が体にとってのマイナスであることの理解が重要です。
食後のインスリンスパイクのコントロールが可能になるとやせてきます。そして痛みが改善されてきます。
膝、腰の痛みの原因はいろいろです。すべての方が「糖質制限」をするわけではありません。
カウンセリングを行いその方にお応じた治療方針を決めていきます。
当院ではオーダーメイド治療と説明しています。
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