2021年03月28日
食欲
ブログ
南アフリカのケープタウン郊外にすむヒヒについての食事研究があります。人間に近いヒヒはどんな食生活で炭水化物、脂質、たんぱく質をどんな比率で食べているのでしょうか。ステラと名付けた一頭のメスのヒヒを30日間連続で調査された結果はどんな食事内容だったかというと非常に驚く内容であったのです。それは食事の種類の多さです。30日間で食べた食品は90種類ちかくを摂取していたことと、その時々に食べたいものを食べているように観察できたとあります。ステラの食事に占める脂肪と炭水化物の割合は毎日多様な食品を食べ、日によって食べるものが違っていたことからも予想された通り、日によって大きく変動していたようです。その結果、毎日の炭水化物と脂肪からの摂取カロリーの合計とたんぱく質からの摂取からカロリーとの関係をグラフにしたところ両者の間に固定的な関係が見られたそうです。食事のバランスを測るとても重要な尺度である、食事中たんぱく質/脂質・炭水化物比はステラが毎日何を食べようが、ひと月の間ずっと変わらなかったようです。この比率の内容は健康的で最適な栄養バランスである「たんぱく質1に対し、脂肪と炭水化物が5」という黄金比率だったのです。自分の健康にとってどんな食事が最適かを熟知していてこの上なく正確に摂取していたことになります。何年か前にNHKで放映されたヒヒの群れについてのドキュメンタリー映画がありました。その中でボスがリーダー争いに負けて瀕死の重傷を負いますが再度戦い再びボスの座を奪い返す内容でした。体に何か所かの傷を負っても数日間は何も食べずじっと耐え、少し回復してくると果物を食べて徐々に体を回復させていく様子が記録されておりその状態をみて驚きました。もちろん獣医さんもいないので自分のの自然治癒力が頼りですが、見事に体を復活させて群れのボスの地位につきます。もともと我々人間も何を食べたらいいのかは本能的に知っていると思います。それが飢えから解放されることになった農耕生活から現代の飽食生活になり体の内なる本能的な部分が衰えてしまったのでしょう。今でも風邪を引いた後に通常ならば食べたくない酸っぱいフルーツなどが食べたくなったりするのはその本能が絶食時によみがえるからではないかと思います。難病の方の治療法にはファスティングがあります。かなり効果があることも聞いてます。時々は食事回数を減らし本当の食欲を感じてみることも大切なことかもしれません。
「科学者たちが語る食欲」デイビット・ローベンハイマー、スティーブン・J・シンプソン著より
「科学者たちが語る食欲」デイビット・ローベンハイマー、スティーブン・J・シンプソン著より
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